RESEARCH

全国の医科診療所1,000件の
ホームページを測りました

調査日 2026年9月18日
対象 全国の医科診療所から無作為抽出した1,000件
調査・公開 株式会社トゥモローステッド

群馬県の建設会社201社、全国の歯科医院1,000件に続いて、3業種目です。今回は全国の医科診療所を測りました。表示の遅さは3業種とも同じ数字が出ました。違ったのは、患者が連絡する手段です。診療所の約半数は、サイトに電話番号が書いてあるだけでした。

49% 予約も問い合わせも、サイトでは完結できない 892件中438件。連絡手段が電話だけ
26% その電話番号も、スマホから押して発信できない 892件中228件。文字で書いてあるだけ
7.5% 公的データに載っているURLから、たどり着けない 964件中72件。ドメインの失効・ページの消滅など

調べ方

母集団厚生労働省「医療情報ネット」のオープンデータ(2025年12月1日時点)に収録された全国の医科診療所76,988件のうち、ホームページのアドレスが登録されていた48,214件。ここから記載の壊れているもの・予約ポータルや医師会の名簿ページ・重複を除いた44,694件を母集団とした
標本母集団から無作為に1,000件を抽出(抽出は乱数により機械的に行い、選び直しはしていない)
調査日2026年9月18日
方法自社開発の採点プログラムで各サイトを読み込み、機械的に判定。表示速度はGoogleのPageSpeed Insights(モバイル)の値を使用
配点表示速度30点/スマホ対応20点/通信の安全性15点/検索結果での見え方15点/問い合わせ手段10点/更新状況10点=100点
除外自動巡回を断る設定(robots.txt)の36件は測定していない

出典: 厚生労働省「医療情報ネットのオープンデータ」(e-Govデータポータル)。当社が抽出・加工して集計しました。

この調査で言えないこと

ホームページの登録は任意です。登録が無い=サイトが無い、ではありません。サイトを持っていても届け出ていない診療所があります。したがって本調査から「◯%の診療所はホームページを持っていない」とは言えません。言えるのは「◯%は制度上ホームページを届け出ていない」までです。

また、測ったのはサイトという入れ物であって、診療の中身ではありません。表示速度や連絡手段の点数は、医療の質とは何の関係もありません。

結果① 半数の診療所は、連絡手段が電話しかない

測定できた892件を、患者がサイトから連絡・予約できる手段で分けました。

サイト内に問い合わせ・予約フォームがある201件・23%
外部の予約システムへの導線がある235件・26%
メールアドレスへのリンクだけ18件・2%
電話しかない438件・49%

棒の長さは測定できた892件に占める割合。上から順に判定し、重複して数えていません。

約半数の診療所では、サイトを見た人ができることは「電話番号を控えること」だけでした。そして、その438件のうち228件(全体の26%)は、電話番号がリンクになっておらず、スマートフォンで押しても発信できません。番号を覚えるか、書き写すか、画面を切り替えて打ち直す必要があります。

診療所は、診療時間中は電話に出られないことが多い場所です。夜間や休診日にサイトを見た人、電話がつながらなかった人の受け皿が、半数の診療所には用意されていないことになります。

数え方について(前回の調査から変えた点)

医療機関では、自前のフォームではなく外部の予約システム(ドクターキューブ、アイチケット、EPARK、Airリザーブなど)を使っている例が多くあります。当社の採点プログラムはサイト内のフォームしか数えないため、今回はフォームが無いと判定した691件すべてを機械で開き直し、外部の予約システムへのリンクがあるかを1件ずつ確かめました。その結果が上記の「外部の予約システムへの導線がある 235件」です。

この数え直しは、先に公開した歯科の調査にも同じ方法で適用し、同記事の記述を訂正しました。フォームが無いこと予約できないことは同じではありません。

結果② 全体

測定できた892件の平均は68.0点、中央値は70点でした。

A(80点以上)137件・15%
B(60〜79点)571件・64%
C(40〜59点)159件・18%
D(40点未満)25件・3%
項目平均点達成率
問い合わせ手段3.3 / 1033%
表示速度18.6 / 3062%
スマホ対応14.8 / 2074%
更新状況7.6 / 1076%
検索結果での見え方11.5 / 1577%
通信の安全性12.3 / 1582%

結果③ 表示速度 — 3業種とも、同じ数字が出た

スマートフォンで開いたとき、画面の主要な部分が表示され終わるまでの時間です。Googleは2.5秒以内を「良好」としています。

2.5秒以内(良好)72件・8%
2.5〜4秒77件・9%
4〜10秒294件・34%
10秒以上434件・49%

棒の長さは表示速度を取得できた877件に占める割合。Googleが「良好」とする基準は2.5秒以内(青)。

中央値は9.8秒。20秒を超えた診療所も167件(19%)ありました。総合A評価(80点以上)の診療所でも、表示時間の中央値は7.2秒です。

表示速度の平均点は30点満点で18.6点。前回の歯科医院1,000件は18.0点、その前の群馬県の建設会社201社は18.1点でした。業種も地域も規模も違う3つの調査で、同じ数字が出ています。これは特定の業界の怠慢ではなく、日本の中小規模の事業者のサイトに共通して起きていることだと考えられます。

この数字の読み方

表示速度は、中位のスマートフォンと低速な4G回線を想定した条件で算出された値です。手元の高速な回線で開けば、もっと速く表示されます。ただし全件を同じ条件で測っているため、比較と分布の把握には使えます。

また、表示速度は日や時間帯によって変動します。私たちは同じサイトが同じ日に5.1秒と57.2秒になった例を確認しています。個別の値ではなく、分布としてお読みください。

結果④ 公的データのURLの7.5%は、たどり着けない

robots.txtで巡回を断っている36件を除いた964件のうち、72件(7.5%)は登録されたURLから診療所のサイトに到達できませんでした。

たどり着けなかった理由件数
ドメインが引けない(失効・閉鎖)41件
ページが存在しない(404)12件
接続できない(応答なし・切断)5件
アクセスを拒否された(403)3件
証明書の異常で開けない3件
登録されたURLの記載自体が壊れている3件
サーバー側の異常(5xx)3件
認証を求められる・転送が終わらない2件

ドメインが引けなかったものから無作為に12件を選び、単独で名前解決を確認し直しましたが、12件とも同じ結果でした。並列に測ったことによる取りこぼしではありません。

中身を見ると、単なる消滅だけではありませんでした。2013年3月末に終了したタウン情報サービスのURLがそのまま登録されている例、訪問診療のグループサイト内の個別ページが消えている例、.ney.net の打ち間違い)や.ccomで終わるURL、ホームページ欄に電話番号が書かれている例もありました。患者が公的な情報源から診療所を調べても、そのサイトには行き着けません。

結果⑤ スマホ・通信の安全性・検索・更新

  • スマホ用の指定(viewport)が無く、PC画面が縮小表示される — 195件・22%
  • 画面幅に応じた切り替えの指定が見つからない — 206件・23%
  • スマホ対応が満点だった診療所 — 436件・49%
  • 登録されているURLが http://(暗号化なし)のまま — 538件・60%
  • http で開いても暗号化された接続に切り替わらない — 224件・25%
  • 暗号化された接続で開くと警告が出る、または開けない — 125件・14%
  • 検索結果に出る説明文(meta description)が無い — 126件・14%
  • SNSやLINEに貼ったときの画像(OGP)が無い — 432件・48%
  • 画面に見える年(著作権表示など)が2022年以前 — 118件・13%
  • 年の表示が一切ない — 65件・7%
  • 2026年の表示がある — 591件・66%

最も古い表示は1998年でした。問診票や相談内容を送るフォームがある場合、暗号化されていない通信は個人情報の扱いとして問題になります。該当する診療所は確認をおすすめします。

調べたけれど、差が無かったこと

今回は3つの仮説を立てて調べ、3つとも、数字は支持しませんでした。

都市部と地方

東京・大阪・神奈川・愛知・福岡の428件が平均68.0点、それ以外の464件も平均68.0点。表示時間の中央値は10.4秒と9.6秒でした。差はありません。歯科の調査でも同じ結果だったので、2業種で再現したことになります。

有床診療所と無床診療所

入院用のベッドを持つ診療所(58件)は平均70.3点、持たない診療所(834件)は平均67.9点。規模が大きいほうがわずかに高いものの、2.4点の差です。連絡手段の作り方にも大きな違いはありませんでした。

診療科

標榜する診療科ごとに、予約・問い合わせがサイトで完結する割合を出しました。最も高い呼吸器内科で58%、最も低い眼科で39%。科による差はありましたが、どの科も半数前後です。「この科だけができていない」という話ではありません(1つの診療所が複数の科を標榜するため、各科の集計は重なっています)。

3業種の比較 — 遅さは共通、連絡手段だけが業種で違う

表示速度

医科
62%
歯科
60%
建設
60%

スマホ対応

医科
74%
歯科
69%
建設
80%

通信の安全性

医科
82%
歯科
84%
建設
80%

検索結果での見え方

医科
77%
歯科
78%
建設
76%

問い合わせ手段

医科
33%
歯科
39%
建設
73%

更新状況

医科
76%
歯科
70%
建設
63%

各項目の満点に対する達成率。医科は1,000件から測定できた892件、歯科は1,000件から878件、建設は201社から187社。

6項目のうち5項目は、3業種でほぼ同じです。はっきり違うのは「問い合わせ手段」だけでした。建設会社は73%、歯科医院は39%、医科診療所は33%。建設会社はフォームを置き、医療機関は電話に寄せています。

この差は、業種ごとの事情から説明がつきます。建設会社への相談は日中の営業時間に行われ、内容も長くなるのでフォームが向いています。医療機関は「電話で予約」が長く標準でした。ただし、その電話に出られない時間帯があるのも医療機関です。ここが今回いちばん大きく開いた差です。

医療広告規制との関係

診療所のウェブサイトは、2018年の医療法改正以降、医療広告規制の対象です(厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」)。ただし今回測った6項目は、いずれも規制の対象外です。表示速度、スマートフォンでの見え方、通信の暗号化、予約や問い合わせの導線は、書ける内容の制限とは関係がありません。

この調査で決めたこと

  • 個別の診療所名と点数は公表しません。順位をつけることが目的ではなく、業界全体の状況を明らかにすることが目的だからです
  • 抽出は乱数により機械的に行い、選び直しはしていません
  • 自動巡回を断っているサイトは測っていません
  • 採点の配点は当社が設計したものです。絶対的な基準ではありません
  • 数字が支持しなかった仮説も、そのまま載せています

御院のサイトも、同じ基準で測れます

この調査で使った採点と同じ判定を、どなたでも無料で使えるようにしています。URLを入れるだけで、登録も費用も要りません。

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報道関係の方へ

本調査の集計データ(個別の診療所名を除く)、採点基準の詳細、追加の集計は無償でご提供します。都道府県別・診療科別など、記事に必要な切り口での再集計にも対応します。引用・転載は出典を明記いただければ自由です。info@tomorrowstead.com までご連絡ください。

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