RESEARCH

全国の歯科医院1,000件の
ホームページを測りました

調査日 2026年9月17日
対象 全国の歯科診療所から無作為抽出した1,000件
調査・公開 株式会社トゥモローステッド

前回は群馬県の建設会社201社を測りました。今回は全国の歯科医院です。業種が変われば結果も変わるのか、それとも同じなのかを知りたかったからです。結論から言うと、遅さは業種を問わず同じで、違ったのは「連絡の取りやすさ」でした。

42% 予約も問い合わせも、サイトでは完結できない 878件中367件。連絡手段が電話だけ
52% スマホでの表示に10秒以上かかる医院 858件中448件。中央値は10.6秒
9.4% 公的データに載っているURLから、たどり着けない 969件中91件。ドメインの失効・ページの消滅など

調べ方

母集団厚生労働省「医療情報ネット」のオープンデータ(2025年12月1日時点)に収録された全国の歯科診療所52,985件のうち、ホームページのアドレスが登録されていた26,876件。ここから記載の壊れているもの・予約ポータルや電話帳のURL・重複を除いた25,379件を母集団とした
標本母集団から無作為に1,000件を抽出(抽出は乱数により機械的に行い、選び直しはしていない)
調査日2026年9月17日
方法自社開発の採点プログラムで各サイトを読み込み、機械的に判定。表示速度はGoogleのPageSpeed Insights(モバイル)の値を使用
配点表示速度30点/スマホ対応20点/通信の安全性15点/検索結果での見え方15点/問い合わせ手段10点/更新状況10点=100点
除外自動巡回を断る設定(robots.txt)の31件は測定していない

出典: 厚生労働省「医療情報ネットのオープンデータ」(e-Govデータポータル)。当社が抽出・加工して集計しました。

この調査で言えないこと

ホームページの登録は任意です。登録が無い=サイトが無い、ではありません。サイトを持っていても届け出ていない医院があります。したがって本調査から「◯%の歯科医院はホームページを持っていない」とは言えません。言えるのは「◯%は制度上ホームページを届け出ていない」までです。

結果① そもそも、たどり着けない医院が9.4%

測定を始めてすぐ分かったのは、国のデータベースに載っているURLが、かなりの割合で機能していないことでした。

たどり着けなかった理由件数
ドメインが引けない(失効・閉鎖)62件
ページが存在しない(404)17件
接続できない・証明書の異常6件
アクセスを拒否された(403)3件
登録されたURLの記載自体が壊れている3件

合計91件。robots.txtで巡回を断っている31件を除いた969件に対して9.4%にあたります。念のため、ドメインが引けなかった中から無作為に12件を選んで単独で確認し直しましたが、11件は同じ結果でした(残る1件は2019年に終了した無料ホームページサービスのものです)。

「www.◯◯-shika.j」のように途中で切れたURL、存在しない記号が混じったURLも登録されたままでした。患者が公的な情報源から医院を調べても、そのサイトには行き着けません。

結果② 全体

測定できた878件の平均は66.9点、中央値は69点でした。

A(80点以上)120件・14%
B(60〜79点)548件・62%
C(40〜59点)173件・20%
D(40点未満)37件・4%
項目平均点達成率
問い合わせ手段3.9 / 1039%
表示速度18.0 / 3060%
スマホ対応13.7 / 2069%
更新状況7.0 / 1070%
検索結果での見え方11.7 / 1578%
通信の安全性12.6 / 1584%

結果③ 問い合わせ手段 — ここが歯科の最大の弱点

測定できた878件を、サイトから連絡・予約できる手段で分けました。

  • サイト内に問い合わせ・予約フォームがある — 255件・29%
  • 外部の予約システムへの導線がある — 236件・27%
  • メールアドレスへのリンクだけ — 20件・2%
  • 電話しかない367件・42%

歯科医院にとって、サイトを見た人にしてほしい行動は「予約」です。それなのに4割の医院では、サイトを見た人ができることは「電話番号を控えること」だけでした。そのうち152件(全体の17%)は、電話番号がリンクにすらなっておらず、スマホで押しても発信できません。

項目ごとに数えると、サイト内にフォームが無い医院は623件(71%)、電話番号がリンクになっていない医院は287件(33%)、サイト内に連絡手段が見当たらない医院は79件(9%)でした。診療中は電話に出られないことを考えると、その時間帯に予約したい人の受け皿が無い医院が4割あることになります。

訂正(2026年9月18日)

公開時、この記事は「7割の医院では、サイトから予約も問い合わせもできない」と書いていました。これは誤りでした。当社の採点プログラムはサイト内のフォームしか数えておらず、外部の予約システム(ドクターキューブ、EPARK、Airリザーブなど)へのリンクを数えていなかったためです。

フォームが無いと判定した623件すべてを機械で開き直したところ、236件(27%)には外部の予約システムへの導線がありました。フォームが無いこと予約できないことは同じではありません。上記の数字と冒頭の見出しは、数え直した結果に差し替えています。フォームの有無そのもの(71%)を含め、他の項目の測定結果に変更はありません。

結果④ 表示速度 — 建設業とほぼ同じだった

スマートフォンで開いたとき、画面の主要な部分が表示され終わるまでの時間です。Googleは2.5秒以内を「良好」としています。

2.5秒以内(良好)62件・7%
2.5〜4秒79件・9%
4〜10秒269件・31%
10秒以上448件・52%

棒の長さは858件に占める割合。Googleが「良好」とする基準は2.5秒以内(青)。

中央値は10.6秒。20秒を超えた医院も170件(20%)ありました。総合A評価(80点以上)の医院でも、表示時間の中央値は8.3秒です。

ここが今回いちばん意外だった点です。表示速度の平均点は30点満点で18.0点。前回測った群馬県の建設会社201社は18.1点でした。業種も地域も規模も違うのに、表示速度はほとんど同じでした。

この数字の読み方

表示速度は、中位のスマートフォンと低速な4G回線を想定した条件で算出された値です。手元の高速な回線で開けば、もっと速く表示されます。ただし全件を同じ条件で測っているため、比較と分布の把握には使えます。

また、表示速度は日や時間帯によって変動します。私たちは同じサイトが同じ日に5.1秒と57.2秒になった例を確認しています。個別の値ではなく、分布としてお読みください。

結果⑤ スマホでの見え方

  • スマホ用の指定(viewport)が無く、PC画面が縮小表示される — 192件・22%
  • 画面幅に応じた切り替えの指定が見つからない — 256件・29%
  • 満点だった医院 — 318件・36%

5件に1件は、スマホで開くとPC用の画面がそのまま小さく表示されます。指で広げないと診療時間も読めません。

結果⑥ 通信の安全性と、検索結果での見え方

  • 登録されているURLが http://(暗号化なし)のまま — 594件・68%
  • http で開いても暗号化された接続に切り替わらない — 193件・22%
  • 暗号化された接続で開くと警告が出る、または開けない — 109件・12%
  • 検索結果に出る説明文(meta description)が無い — 86件・10%
  • SNSやLINEに貼ったときの画像(OGP)が無い — 456件・52%

問診票や相談内容を送るフォームがある場合、暗号化されていない通信は個人情報の扱いとして問題になります。該当する医院は確認をおすすめします。

結果⑦ 更新状況

  • 画面に見える年(著作権表示など)が2022年以前 — 156件・18%
  • 年の表示が一切ない — 65件・7%
  • 2026年の表示がある — 521件・59%

最も古い表示は1999年でした。診療時間や休診日が変わっていても、訪問者にはそれが今の情報なのか分かりません。

調べたけれど、差が無かったこと

「都市部の医院のほうが、競争が激しいぶんサイトも整っているのではないか」という仮説を立てて調べました。

結果は、東京・大阪・神奈川・愛知・福岡の423件が平均66.2点、それ以外の455件が平均67.6点。表示時間の中央値も10.9秒と10.4秒で、差はありませんでした。むしろ地方のほうがわずかに高い結果です。フォームが無い割合も72%と70%でほとんど同じでした。

都市と地方の差ではない、ということです。数字が支持しなかったので、この仮説は取りません。

建設業との比較 — 遅さは共通、連絡手段は別物

表示速度

歯科
60%
建設
60%

スマホ対応

歯科
69%
建設
80%

通信の安全性

歯科
84%
建設
80%

検索結果での見え方

歯科
78%
建設
76%

問い合わせ手段

歯科
39%
建設
73%

更新状況

歯科
70%
建設
63%

各項目の満点に対する達成率。歯科は1,000件から測定できた878件、建設は201社から測定できた187社。

表示速度はほぼ同じ。業種を変えても同じ数字が出たということは、これは特定の業界の怠慢ではなく、日本の中小規模の事業者のサイトに共通して起きていることだと考えられます。

違ったのは連絡手段です。建設会社は電話番号を押せるようにしていない代わりにフォームは用意していました(フォーム無しは24%)。歯科医院は逆で、電話は押せるがフォームが無い(71%)。どちらも「自分たちの商売で相手がどう連絡してくるか」を想定した結果に見えますが、歯科の場合、診療中は電話に出られないという事情があります。外部の予約システムを使っている医院を数えても、連絡手段が電話だけの医院が4割あり、その時間に予約したい人の受け皿がありません。

この調査で決めたこと

  • 個別の医院名と点数は公表しません。順位をつけることが目的ではなく、業界全体の状況を明らかにすることが目的だからです
  • 抽出は乱数により機械的に行い、選び直しはしていません
  • 自動巡回を断っているサイトは測っていません
  • 採点の配点は当社が設計したものです。絶対的な基準ではありません

御社・御院のサイトも、同じ基準で測れます

この調査で使った採点と同じ判定を、どなたでも無料で使えるようにしています。URLを入れるだけで、登録も費用も要りません。

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報道関係の方へ

本調査の集計データ(個別の医院名を除く)、採点基準の詳細、追加の集計は無償でご提供します。都道府県別・規模別など、記事に必要な切り口での再集計にも対応します。引用・転載は出典を明記いただければ自由です。info@tomorrowstead.com までご連絡ください。

ほかの調査 → 全国の医科診療所1,000件のホームページを測りました群馬県の建設会社201社のホームページを、全部、測りました